挑戦の歴史が育んだ、感動文化。
繊維の町一宮で生まれ、日本各地の織物産地での活躍を経て、今や名だたる世界的アパレルブランドにも深く関わっているHASEGAWA。
創業から60年、感動を付加価値として提供できる企業文化が確立されるに至りますが、その歴史は、まさに挑戦の歴史。
創業者のその時々の思いとともに、たどって来た足跡を振り返りながら、未来への可能性の広がりを探ってみます。
HASEGAWA HISTORY START
1965年 | 長谷川勝が個人創業 |
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一宮の地で独立開業
HASEGAWAのはじまりは、1965年(昭和40年)に現相談役である長谷川勝が個人で起ち上げた、小さな糸造り事業でした。
国内屈指の繊維の町一宮の機屋に生まれ、高校卒業後に一宮の織物商社で基礎を学んだ勝は、3年で独立・創業。
当初は地元の染色工場の下請けなどを行いつつ絹織物用の糸開発・糸販売を手掛けていました。それが縁となり滋賀県長浜の縮緬(ちりめん)会社との取引がスタート。
絹紡糸を購入し、加工して販売する。現在の主要事業にもつながる基本形は、この時に生まれたのです。
糸づくりに新風を吹かす
長浜は縮緬の産地として有名で、当時はまさに縮緬の全盛期でした。
勝にも企画提案の声がかかるようになり、新商品を考えてみたところ、採用され、それが大ヒット。大量の引き合いが来るようになり、大忙しの毎日でしたが、ある時から商品の質に異議が唱えられるようになりました。
「HASEGAWAの糸は生糸ではなく絹紡糸。縮緬にはふさわしくない」と、反物に真っ赤な「絹紡糸入り」というハンコを押されてしまったのです。
勝は商売繁盛の気勢をそがれたものの、新しい市場を求めて、さらに大きな縮緬産地である京都の丹後へと新規開拓に赴きました。
丹後では、HASEGAWAの商品は質的にも問題なく受け入れられ、今まで以上に好評となりました。しかし、その盛況ぶりを見つめる勝の心は既に別のところにあったのです。
「縮緬の景気はそう長くないだろう。今度は、一宮で洋装に力を注ぎたい」
そう考え、地元に戻って新たな展開を進めていきました。
一宮では高校の同級生たちがこぞって繊維産業に携わっており、彼らと連携しながら新しいステージを築き上げていったのです。
HISTORY-02
1977年 | 株式会社長谷川商店設立 |
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1982年 | 本社を一宮市浅井町小日比野字長池に移転 |
法人化し、さらなる事業拡大へ
勝が33歳の時、株式会社長谷川商店を設立。
海外展開を含む糸と原料の仕入れ・加工・販売を、いよいよ本格的に確立していくことになりました。シルクを洋装分野へと、戦略的にターゲットを絞っていったのもこの頃です。和装用にのみ使用されていた生糸や絹紡糸を、撚糸や様々な加工でアレンジし、織物とニット業界への供給を開始。
同時に手横編機を導入して、スワッチを用いた国内外アパレルへの提案もスタートしました。やがてヒット商品を連発し、当時流行していたシルクニットのブームに貢献。
仕入先や協力会社との関係も良好で、着実に信頼と実績を積み重ねる毎日でした。
海外展開への扉を開ける
業績が好調な中、新たな人脈が、さらに新しい展開への手がかりとなります。
尾州や大阪で知り合った機屋の若手たちとともに、ヨーロッパをはじめ海外視察に同行して、海外での仕入れに道筋をつけていったのです。
そして中国・インド・ウズベキスタン等、海外での仕入れロットが次第に増えてくると、大手商社との付き合いがはじまりました。
商社機能をフルに活用し、世界各国の情報を収集しながら、事業も加速度を増して拡大していきました。もっと良い原料はないか。もっと効率良く手に入る仕入先は。
広い世界は、そのまま可能性の広がりでもある。
貪欲に、前向きに、さらなる海外展開への思いは日増しに強くなっていったのです。
そんな中、新たな世界への足掛かりとして、1998年の香港「FILASIA」に初出展。
これを機に、海外の展示会への積極的な出展を行うようになっていきます。
HISTORY-03
1995年 |
中国提携工場に、品質向上のための専門技術指導と先進装置導入を開始 |
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1998年 |
香港 FILASIA に初出展 東京で開催されたJAPAN CREATION に初出展 |
2001年 |
フランス/パリ で開催されたEXPOFIL にアジアから初出展 アメリカ/ニューヨークで開催されたYARN FAIRに初出展 |
強みを生かし世界へデビュー
試行錯誤を重ねながら、世界各国での展示会に参加するようになると、HASEGAWAの名前は徐々に認知され、評価も次第に高まっていきました。
この頃、香港の大手ニッターからセーター用の絹紡糸の引き合いが大量ロットで発生し、海外での継続的な販売ルートを確保することになりました。
この当時からHASEGAWAは、糸のメーカーとしての顔と、商社としての顔の両方を持っていました。
原料の見極めから糸の仕上げ・販売まですべて責任をもって行う、一気通貫の取り組みが、海外市場でも高く評価され、HASEGAWAの強みとして根付いていったのです。
商社に頼る部分が大きかった原料仕入れに関しても、次第に自社でまかなうようになり、ますます自社による一貫体制が整備されていった時期でもあります。
HISTORY-04
2003年 |
流通センター開設 マッハコーナー(エアースプライサー&ウースターカンタム(色糸感知)を本社内に導入し、入荷/出荷の品質検査を開始 中国/上海で開催されたSPIN EXPOに初出展 イタリア/COMOで開催された FILO展にアジアから初出展 |
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拠点や設備を整え力をためる
独自の強みでもある、仕入れから製造・販売までの一貫体制をさらに充実させるために、積極的・効果的な拠点整備や設備投資を行うことになります。
2003年のマッハコーナー導入を皮切りに、新型丸編機、自動ワインダー、最新鋭の自動編機などを導入し、自社製造体制の整備とともに品質向上にも努めていきました。
元々手掛けていた主な商材は「糸」だけでしたが、丸編機導入で「生地」の自社生産・販売が可能になり、さらには「製品・商品」開発にもこれまで以上に取り組むことが可能になったのです。
国内外の協力工場との連携や、海外工場への技術指導などにも尽力しており、新しい「HASEGAWAならでは」の高品質なアイテム創造に向けて、挑戦を続けていきました。
2004年 |
イタリア/フィレンツェで開催されたPitti Filati にアジアから初出展 本社を現所在地の一宮市浅井町小日比野字大萩に移転 |
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2006年 |
ドイツ/ケルンで開催された Handarbeit & Hobbyにアジアから単独初出展 |
HISTORY-05
2007年 |
福原製各種新型丸編機を本社内に導入 ダブルツイスター、シルクスライバー牽断装置、ギル連条装置を本社内に導入 |
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2008年 |
リリヤン機、カバーリング機、ジャンボ撚糸機、モール機を本社内に導入 自動ワインダー「プロセスコーナー&ウォータースプライサー&ウースターカンタム色感知」を本社内に導入し、原糸の品質リメイクと染糸の高品質仕上を実現 楽天にて「Silk HASEGAWA」開店、一般個人のお客様向けに手芸糸のネット販売を開始 フランスとニューヨークで開催されたPremier Vision に初出展 |
2010年 |
ギマ加工工場と専属業務提携開始 |
2012年 |
「Silk HASEGAWA」を自社ショップとして開店 |
HISTORY-06
2015年 |
島精機製作所のデザインシステム4台と最新鋭自動編機10台を本社内に導入、自社糸を使用した製品開発をスタート。 社屋横に大型新倉庫を開設 |
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2016年 |
製品仕上用機械(自動仕上機、タンブラー機、ドライクリーニング機、及びミシン各機種)を本社内に導入 自社糸を使用した製品販売を開始 |
2017年 |
自動裁断機CAMを本社内に導入 単頭刺繍ミシンTMBR-S1501C を本社内に導入 社員食堂をリニューアル 会社設立40周年記念式典を開催 |
2018年 |
初の東京単独展「SILK+」開催 |
2019年 |
シルクニット製品オンラインショップ「HASEGAWA」を開店 Amazonにて販売を開始。 全国百貨店の催事への出展をスタート |
2020年 |
HASEGAWA SILK MARKET 1stを開催 シルクマスクの生産と販売を開始 本社併設の直販ショップ「SHOP HASEGAWA」を開店 クラウドファンディングをスタート YouTubeチャンネルを開設 TVCM放送スタート |
2021年 |
創業者長谷川勝が相談役に就任、代表取締役社長に長谷川容子が就任 本社工場見学の受付をスタート |
挑戦から感動へ。HASEGAWAの新しい歩み
時代は変わり続け、私たちを取り巻く環境も激しい変化にさらされています。
市場に目を向けると、アパレルや百貨店はますます冬の時代となり、代わってファストファッションやネット販売が台頭していますが、今後の動向は誰にもわかりません。
流通は一層複雑化・細分化され、それによる機会損失などの弊害も生まれています。
そんな中で、HASEGAWAは、その挑戦し続けてきた歴史の中で育まれた企業文化である感動を付加価値として提供できる体制を軸に新たな歩みを始めています。
HASEGAWAにオーダーすれば、製品が一気通貫で届けてもらえる。高品質かつ感動の込められた商品を、世界的ブランドから一般消費者の一人ひとりまで提供できる。それを実現するためには一貫生産・一貫販売にますます磨きをかけ、原材料の段階から的確な目利きで仕入れていくことが必要です。また世界のあらゆる地域に目を凝らし、世界で求められているもの、人々が感動するものを俯瞰で把握することが、さらに重要になるでしょう。
感動を軸に様々なニーズに応えていく一方で、今後はシーズの開拓にも取り組んでいきます。きっとそこにも新たな感動が生まれ、大きなエネルギーとなって、相乗効果をもたらしてくれると期待しています。
これから長谷川商店は、挑戦の歴史の上に、感動の歴史を紡いでいきます。