2025.10.22 付 繊維ニュースに掲載していただきました。
以下、転載。
生地提案で販売機会拡充
産地企業と連携し織物も
糸・編み地製造卸の長谷川商店は、生地提案の拡大を図っている。衣料品市場が勢いを欠く中、展開領域の幅を広げることで販売機会を増やす。産地企業との連携によって商材を増やしており、丸編み地に加え、織物の訴求も開始している。
同社は、2年ほど前から丸編み地の提案に注力してきた。一宮市や和歌山県などのニット製造企業と連携して独自の商材を作っている。「20番単糸を使うような生地に、あえて紬糸の40番双糸を用いて軽さなどを表現している」。価値のある生地の提案が評価され、徐々にオーダーが増えてきた。
丸編み地だけでなく、織物の開発にも乗り出し、デニム産地や浜松産地との取り組みを深めている。デニムでは、紬糸や絹紡糸を緯に打って光沢感と柔らかな風合いを付与したシルクデニムを商品化した。アイデンティティーの一つとする柞蚕 ( さくさん・野蚕 ) も活用する。
浜松産地の企業との連携では、トップメランジの紬糸や絹紡糸を用いるなど、色味の特徴を打ち出した生地を作り上げている。「シルクを使った高級品を作りたいと話す丸編み地製造会社や織物会社は多い。当社と産地企業の双方にとって良い関係が築けている」とした。
生地販売は、「もう少しで大きな塊になりそうだ」と話し、海外市場にも視線を送る。同社はイタリアのニット糸・生地の展示会「ピッティ・フィラ―ティ」に継続出展しているが、イタリアの服地見本市「ミラノ・ウニカ」などへの出展も検討したいとしている。
糸では、形状に特徴があるタイプや起毛、リリヤーンなどが人気を博す。そのほか、柞蚕の長繊維の提案には継続して力を入れる方針で、光沢感や希少性といった特徴をアピールしていく。