2024.12.23付 繊維ニュースに掲載していただきました。
以下、転載。
染めむら糸をセーターに
チーズ染色の色差糸活用
シルク糸・編み地製造卸の長谷川商店はこのほど、チーズ染色工程で発生するむら糸の絹紡糸使い100%セーターを開発した。通信販売のカタログハウスが手掛ける「通販生活1・2月号」で販売を始める。
チーズ染色では内側と外側に染めむら”内外差”が10%ほど発生する。色差のある内側と外側の糸は流通せずに廃棄対象になることが多い。長谷川商店ではこのムラ糸を3トン保管したままで、処分にも困る状況だった。
かつて残糸をつなぎ合わせてセーターで販売したこともあり、今回もむら糸使いのセーターを企画。120番双糸の絹紡糸を4色使いで撚糸した。その後、杢調に仕上げた糸をホールガーメント機でハイネックセーターに編み立てた。撚糸から編み立て、仕上げまでの生産工程を一貫して作り上げた。
むら糸で特に量が多かったピンクを中心に使い、首と身頃下部分、袖先に配色を付けたバイカラーデザインに仕立てた。今回の生産でむら糸を約200キロ消費できたとし、今後も新たな製品の開発や販売に生かす。企画を発案した長谷川商店の八橋徹氏は「形になったことが大きな成果だ。この事例を今後の商品開発のヒントに生かす」と話す。
通販生活では”循環型ファッション”商品として訴求する。廃棄対象の糸を使うエシカルな側面と、絹紡糸の持つ原料の特徴を合わせてアピールを図る。